国宝・文化財はどう修理している? 大きいものは5年以上かけて
美術館の“裏側”公開ツアー【国宝・文化財修理 篇】
時代を超えて、国境を越えて、人々を魅了し続ける名画。展覧会はそんな珠玉の作品がずらりと並ぶ貴重な催し物。しかし、開催されるまでには裏方たちの地道な活動の労苦があった――。
知られざる展覧会の舞台裏とは? コラム「美術館の“裏側”公開ツアー」、今回は西洋美術篇(雑誌『一個人』2018年3月号より)。
知られざる展覧会の舞台裏とは? コラム「美術館の“裏側”公開ツアー」、今回は西洋美術篇(雑誌『一個人』2018年3月号より)。
国宝「鳥獣人物戯画」修理の流れ
作品修理の場合、肝となるのが裏打紙を除去する作業。本紙に張り付いた裏打紙を丹念に取り除いた後、ようやく補修作業が始まる。作業期間は数年にも及び、すべてが手作業という鍛錬された技術の上で成り立っている。
1.旧裏打紙の除去
本紙と表装を分離する際は少しずつ湿らしながら裏打紙を取り外す。ピンセットでつまんで少しずつ進めるなど細かな手作業が続く。
2.補修紙を施す
欠損部分に補修紙を当て補塡する。質感や風合いをなじませる必要があり、補塡部分が浮かないよう細心の注意を払う。
3.肌裏打ちを施す
修理後は本紙の裏面に糊で紙を貼って補強する。最初に行う裏打ちを肌裏打ちといい、全体で3~4層の裏打ちを繰り返していく。
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